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SOFC作動環境下における機械的特性の研究

※日本大学工学部機械工学科・井口教授と連携

 現在開発が進められているSOFCはいずれも作動温度が750℃以上と非常に高温です。そのため構成材料は主に電子やイオンが流れることが可能な機能性セラミックスとなります。セラミックスは基本的に脆性材料であり引張に対して非常に脆く,金属材料を用いた工業製品よりも設計を行う際に注意が必要となります。設計を適切に行うためには,SOFC作動環境における構成材料の機械的特性(ヤング率など)が明らかになっていることが重要です。主要な構成材料の高温における機械的特性はそれなりに明らかになっているのですが,図に示すように構成材料の多くは水素や改質ガスといった還元雰囲気にさらされます。実はこのような還元雰囲気で機械的特性を計測することはあまり行われていません。

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SOFC作動時における雰囲気変化

 しかし,高温における機械的特性には雰囲気の影響を強くうけるものがあります。図にはSOFCの電解質材料の一部として用いられている希土類であるイットリウムを添加したセリアのクリープ速度が示す雰囲気依存性を示してあります。これからわかるようにイットリウム添加セリアのクリープ速度は同じ温度でも雰囲気が大気から還元雰囲気になるにつれて増加し,酸素分圧が10^-13atm付近で極値を示し再度減少します。

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1100℃におけるイットリア添加セリアクリープ速度の雰囲気依存性

 このようにSOFCの設計を適切に行うためには,SOFC作動環境下における機械特性を正しく評価する必要があります。我々はそのためにSOFC作動環境下で様々な機械試験を行うことができるIn-situ4点曲げ試験装置を開発し,電解質材料,電極材料の機械特性について計測を行っています。

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